マーケティング

行動経済学11選を具体例付きで紹介!心理学との違いも解説

行動経済学とは経済学と心理学の考えを取り入れた比較的新しい学問です。

2002年に心理学者のダニエル・カーネマン、エイモス・トベルスキー、そして経済学者のリチャード・セイラーらによって経済学の新しい領域としてうまれました。

経済学は合理的な人間模様を描くのに対し、行動経済学は人間は必ずしも合理的判断を下さないという考えがあります。

行動経済学は何かビジネスをするには知っておきたい学問で、マーケティング戦略としても心得ておくのは非常に重要です。

そこでこの記事では行動経済学をわかりやすく12のポイントと具体例付きで紹介していきますね。

行動経済学と心理学の違いは?

まずは、とても似ている行動経済学と心理学の違いについて見てみたいと思います。

行動経済学と心理学はとても似ているのでややこしいと考える人も多いかと思います。

どちらを調べても同じような検索結果になるので違いが判断しづらいです。なので二つとも似ている学問であり完全な分断は難しいといえます。

そこでざっくりですが違いをわかりやすく解説していきます。

行動経済学とは?

冒頭で少し触れましたが、経済学は「個人は利益のために行動し少しでも利益の大きくなる合理的な選択肢を選ぶ」という前提の考えがあります。

それに対して行動経済学では「人は必ずしも合理的な判断をするものではない」という考えが前提になっております。

この行動は正しくないと思いつつも、誘惑やその場の感情に負けて合理的とはほど遠い行動をしてしまいがちという心理学の要素を組み込んだ訳です。

そのため

心理学と経済学が重なって、経済活動に与える影響を調べる学問が「行動経済学」と覚えておけば問題ないといえます。

心理学とは?

では心理学とはなんなのか?

Wikipediaで心理学について調べてみると「科学的な手法によって研究される心と行動の学問である。」と書かれています。

心理学は歴史も古く実に様々に広い領域に焦点が当てられます。

行動経済学と心理学の違いを一言に端的に表すと「経済学的要素」があるかないか。

心理学は経済活動だけでなく普段の生活から人生レベルのことまで範囲は果てしなく広く。しかし行動経済学は経済活動に与える影響を研究する学問となります。

具体例付きで行動経済学11選

アンカリング効果

アンカリング効果(Anchoring Effect)の「Anchoring」は船の錨のアンカーを意味した言葉になります。

これは「最初に示された数値または条件を基点に物事を考えてしまうこと」をさします。

例えば、通常は10,000円ですが今なら半額の5,000円でいいですよ!という場合

今使っている類似製品を4,000円で買って少し不満に思っている事があれば、今使っているものより少し高くなるけど変えてみようかなと思ったりします。

他にも通常であれば10万ですが、期間限定で●日までに買ってくれたら半額の5万円。

普段はこの車100万ですが、今月末までなら2割引の80万円でいいですよ!

といった状況になったら、少しお得に感じませんか?

これがアンカリング効果というものになります。

ハロー効果

ハロー効果(halo effect)、日本人としては挨拶のハローというのが印象にありますが異なります。

この場合の「halo」は「後光」「光背」などといった意味を持ち

ハロー効果は「その人のもつ強力な特徴が、後の印象や評価に影響を与える」というものになります。

たとえ話ですが、キリストがいて周りにもっとも優秀と言われる側近が3人いた場合、何者でもなくても無条件で「すごい人」になりませんか?

その人の話していたことについて解明されていない本があった場合、翻訳頑張ってみようとかなりませんか?という事ですね。

この場合、たいした事が書いてない場合でも、自分たちが理解できていないだけだと考えてしまいます。

キリストという偉大な人物のおかげで、その前にいたなんでもない人ですらキリストの持つ光でえらく偉大に見える訳です。

サンクコスト効果

サンクコスト効果「sunk cost」

一言でいってしまうと「もったいない」という心理です。

今までかけてきた労力を失いたくない、無駄にしたくない、何かしらの形にしたいと思う考え。

・スマホゲームで課金続けてきてあと何回かやれば取れそうな場合。

・クレーンゲームで取りたい商品があるが中々とれない。今諦めるのはもったいない

・もうお腹いっぱいだが、あと少しで完食だから最後までやりきりたい

といった、今までかけてきた時間と労力を目に見える形にしたいと思う心理をサンクコスト効果と言います。

同じような話でコンコルド効果というものがあります。

コンコルドは超スピードで飛ぶ旅客機で、開発段階からコケることは予想できていたみたいです。

しかしこれまでにかけた開発費、労力、時間、を天秤にかけた時に「やめる」という判断ができなかった典型例です。

優秀な技術者が集まった旅客機という大きなプロジェクトでも、このようなサンクコスト効果が起こっているんですね。

 ザイガニック効果(ツァイガルニク効果)

ザイガニック効果は「未完了のものや情報の隠されていることに注意が向く」「達成できたことより達成できてないことを意識する」といったことをさします。

※ザイガニック効果=ツァイガルニク効果

例えば「続きはCMのあとで」などのテレビCMなどはその典型例といえますね!

その他にも、「テレビドラマのいいところで話を次週に持ち越し」「週刊誌の漫画で気になるところで終わる」などといった状況があります。

次回も読んで見てもらいたいという気持ちから作られ、いずれもこのザイガニック効果を狙った戦略と言えます。

人の脳は完成を求めていますので、足りないピースがあると埋めたくなります。

この効果を狙った応用で普段の勉強にも活用できます。あらかじめ時間をセットしておき時間が来たら中途半端でもしっかりその場でやめます。

そうするとどうなるか?中途半端に終わらせた事で続きをしたくなります。

この「未完了の状態」を意図的に作り勉強に生かすのも有効です。

ザイオンス効果

ザイオンス効果は接触回数が多いほど人は親しみを持つという心理効果で、単純接触効果とも呼ばれます。

元々興味がなかった物事や人に対して、何度も会ううちに興味を持つ心理的現象です。

このようなケース思い当たる事がある人もいるのではないでしょうか?

ザイオンス効果は恋愛、プライベートだけでなく、営業、職場などビジネスシーンでも活用できます。

・いつも一緒にいてくれて、いつの間にか惹かれ好きになっていた。

・最初は鬱陶しかったがまめに顔を出してくる営業担当と次第に仲良くなった。

・お店の常連さんにいつもの御礼に少しサービスした。

といったことがありますが、いずれもザイオンス効果の現れといえます。

他にもテレビCMで同じものを何回も見聞きすると、自然と認知・興味が育ち購買に繋がりやすいと言われています。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは「多くの人が関心を持つものを自分も手に入れたい」と思う心理です。

「あの人が持っているから欲しい」「街中で多くの人がもっていたから私も欲しい」といったことや

行列のできるお店や、人気ナンバーワンという商品・言葉に人は弱いです。

お店であれば売りたい商品の陳列スペースを広めに確保して、あえて売れているかのように少しスペースをあけておくとかすると購買意欲が一層煽られますよね。

他にもテレビで紹介されました。モンドセレクション金賞などといった社会的信用価値を見せるのもポイントになります。

バンドワゴン効果は売上アップには欠かせない戦略と言えますが、誇大広告にならないよう使い方には十分留意する必要があります。

スノッブ効果

スノップ効果は上にあげたバンドワゴン効果の逆パターンと覚えておけばOKです。

「人と同じものを所有したくない」「人と同じものは嫌」という心理状態のことを指しているのがスノップ効果です。

簡単に手に入るありふれたものには魅力を感じなく、人が手に入れにくいものに価値を感じます。

希少性の高いものや限定性の高いのを好む傾向にあり、スノップ効果を発揮するのはこだわりの強い人と言えるかもしれませんね。

カクテルパーティー効果

カクテルパーティーなどの騒がしい多くの音がいきかう中でも、自分の名前や、興味がある情報が自然と耳に入ってくる。

そんな現象を「カクテルパーティー効果」と呼びます。

音声の選択的聴取・選択的注意とも呼ばれ無意識にその情報だけ拾い上げてくるんですね。

電車の中でうたた寝して最寄駅のアナウンスで飛び起きた経験はないでしょうか。

学校でクラスメイトが騒いでいても、自分の話題を喋っていることに気づいたなんてことありませんか?

こうした多種多様な音の中から自分に関する情報を拾いあげられるのは、カクテルパーティー効果によるものです。

プロスペクト理論

プロスペクト理論(prospect theory)」は「人は損失を回避する傾向があり、状況によってその判断が変わる」という理論のことです。

この理論は心理学者のダニエル・カーネマンがとエイモス・トベルスキーが提唱しました。

言ってしまえば損をしたくないのが人間の基本心理というものです。

無条件で何もリスクなしで100万円もらえるAパターンと、確率は50%だが200万円もらえるBパターンの場合どちらを選ぶでしょうか。

確実にもらえるAパターンを選ぶ人が多いという結果があります。

しかし仮に200万円が必要な理由がある場合、後者のBパターンを選ぶ傾向が増えます。

こうした状況に応じて人の行動が変わることをプロスペクト理論と言います。

元々は投資の世界での言葉で

1、収益よりも損失の方に敏感に反応する。

2、収益がすでに出ている場合は損失を避ける行動にでやすい

3、損失が出ている場合はそれを取り戻そうとする判断をしやすい

投資家は1〜3の行動をする傾向にあると言われています。

松竹梅の法則

3つの選択肢があったら、人は真ん中を選びたくなる心理を松竹梅の法則といいます。

仮に500円、1000円、1500円の弁当があったらどれを選びますか?多くの人は1000円の弁当を選びます。

500円だと寂しいし、1500円だと高すぎる。だから真ん中の1000円にしようという訳ですね。

この心理を利用して、本命を真ん中にもってきましょう。この場合1500円は別に売れなくても構いません。

1000円のものを売るためにその前後の商品を作るイメージです。

ウィンザー効果

口コミやレビューなどの第三者からの評判の方が信頼性が獲得しやすいという心理効果です。

いかに自分の店が優れているか店の人がいくら発信したところで響きません。そりゃ作っている本人が不味いという店になんて行きませんよね。

なので今では「レビューを書いてくれたら●●サービス!」「レビュー特典あり」などのサービスもあります。

そのくらい口コミは大事で影響力もあるという訳ですね。

まとめ

この記事では、マーケティングに役立ちそうな行動経済学について書いて来ました。

どれも聞けば納得の心理効果だと思いますが、言われて初めて納得するこもあると思います。

自分の使えそうな分野で一つずつじっくりと試して見てくださいね!

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